動物たちの物語
     − ヨーロッパに伝わる神話・伝説を集めて −
浅井治海 著
ISBN978-4-902410-18-1
■体裁/A6判・368頁    ■価格/2,160円 (本体2,000円+税) 送料300円   ■発行/2009年11月 

刊行のねらい

 人類は動物を食糧とし、労力を提供させ、さらに軍事にも利用してきた。ある場合には崇拝して神とし、智恵などの表象とし、また特定の動物を祖先と考える民族神話もあり、穀物霊として動物を考えたりした。人間は動物に自分の罪を負わせたり、動物を犠牲として神に捧げたり、動物の仮面を被ってその力を利用しようとしてきた。そして、動物を家畜化して自分の都合の良いように変えてきた。この身勝手な人間のやり方で、ある動物は人間に食糧を供給するためにのみ存在するかのようになった。人間にとっての動物の有用性のみを論じ、動物の立場での考えは希薄になってきている。ある場合にはある動物を自分の都合だけで嫌って避けたり、愛情をかけたり、楽しみで捕獲したり、殺したりしている。
 人口の増加に伴って、自然の破壊が進み、多くの動物種は絶滅し、あるいは絶滅に瀕しさせている。人口増加とエネルギー消費の増大で自然は益々破壊され、地球はその負荷に耐えられなくなってきている。自国の経済発展のみを考えて環境問題を軽視する、あまりにも自国中心主義の視野の狭い考え方がある。残念ながら地球のエネルギーを独占しようとし、そして人類の将来を配慮しない古い信仰に基づいて自己中心的に自らの繁栄のみを考えている例が多くある。
 ある種の動物では増殖し過ぎると自ら集団で自滅することが知られている。これは自然の教えであろう。地球は爆発的な人口増加に襲われている。それにどう対処するのか、真剣に考え、手を打つ時期が来ている。遅過ぎてはすべてが駄目になる。自然の破壊は動物の破壊であり、それはまた人間の破滅である。自らの都合によって自然を破壊した結果は、自らに跳ね返る。
 動物観は宗教によって大きく影響された。各民族はそれぞれの固有の信仰のもとに動物観を形成した。キリスト教の世界ではキリスト教化で人間中心の社会観になり、家畜と野生動物は人間と厳然と区別され、動物は人間が利用する対象でしかなくなった。しかし、動物に親しみを持つキリスト教の聖職者もいた。現代、動物観は見直しを迫られている。
 動物の世界と比較して見ると、人間の方が品位が劣悪と思われる場合がかなりある。イヌのように媚び、自分の利益のみを考え、他人を貶める人間が溢れている現世を見ると、素直に動物に見習う点が非常に多いのではと思われる。
 既に筆者はヨーロッパにおける植物(樹木、草本)と人とのかかわりを中心に報告した。ここではヨーロッパ世界での動物と人間のかかわりについて調べ、人間は動物をどのように考えてきたか、考えているかを知り、そこに将来どうあるべきかを考える新しい指針が少しでも見付かれば幸いであると思った。
 取り上げた問題の範囲はヨーロッパ中心であるが、古代社会でその後のヨーロッパ文化圏に大きな影響を与えた文化にも必要に応じて触れた。
 筆者の浅学と理解力不足で、踏み込みが極めて不十分であり、判断や解釈に間違っている点が多々あると思われる。今後研鑽を積んで一歩でも進んで行きたいと考えているので、お許しを願い、ご指導を頂ければ幸いである。
    2009年秋
                                                                      著者


                          目   次

1 神話の動物
 1.1 創世
 1.2 神々に仕える動物
  (1) 乗り物
  (2) 神々の変身
  (3) 神々による変身
  (4) 食物
  (5) その他
 1.3 恐怖の動物
 1.4 智恵の動物
 1.5 動物としての神
 1.6 神と動物の性関係

2 霊としての動物
 2.1 穀物霊としての動物
 2.2 人の霊魂

3 人に使われる動物
 3.1 生贄、替罪羊など
 3.2 移動・牽引
 3.3 戦争と動物
 3.4 娯楽
 3.5 予言、占い
 3.6 動物仮装
 3.7 食糧
 3.8 その他
  (1) 毛皮、皮
  (2) 羊毛
  (3) 人と動物の婚姻
  (4) その他

4 動物観
 4.1 動物観の流れ 
 4.2 屠殺動物への哀れみと祈り
 4.3 動物愛護の動き

5 悪魔、魔女、魔法使いなどと動物
 5.1 悪魔と動物
 5.2 魔女と動物
 5.3 魔法使いと動物
 5.4 オオカミ人間など

6 人の動物への変身

<いろんな動物のお話>
7 哺乳類
 7.1 アルプスレイヨウ
 7.2 イタチ
 7.3 イヌ
 7.4 イノシシ
 7.5 イルカ
 7.6 ウサギ
 7.7 ウシ
 7.8 ウマ
 7.9 オオカミ
 7.10 キツネ
 7.11 クマ
 7.12 コウモリ
 7.13 シカ
 7.14 ゾウ
 7.15 トナカイ
 7.16 ネコ
 7.17 ネズミ
 7.18 ヒツジ
 7.19 ブタ
 7.20 モグラ
 7.21 ヤギ
 7.22 ライオン
 7.23 ラクダ
 7.24 ラバ
 7.25 ロバ

8 鳥類
 8.1 アヒル
 8.2 イスカ
 8.3 ウ
 8.4 ウズラ
 8.5 ウソ
 8.6 オオライチョウ
 8.7 カケス
 8.8 カササギ
 8.9 ガチョウ
 8.10 カッコウ
 8.11 カモ
 8.12 カモメ
 8.13 カラス
 8.14 ガン
 8.15 キツツキ
 8.16 クロウタドリ
 8.17 コウノトリ
 8.18 コウライウグイス
 8.19 ゴシキヒワ
 8.20 サヨナキドリ
 8.21 シャコ
 8.22 スズメ
 8.23 タカ
 8.24 タゲリ
 8.25 ツグミ
 8.26 ツバメ
 8.27 ツル
 8.28 ニワトリ
 8.29 ノドジロムシクイ
 8.30 ハクチョウ
 8.31 ハゲワシ
 8.32 ハト
 8.33 ハヤブサ
 8.34 ヒバリ
 8.35 フクロウ
 8.36 ホシムクドリ
 8.37 ミソサザイ
 8.38 ムクドリ
 8.39 ヤツガシラ
 8.40 ヨーロッパコマドリ
 8.41 レンジャク
 8.42 ワシ

9 昆虫類 
 9.1 アリ
 9.2 イモムシ
 9.3 カ
 9.4 毛虫
 9.5 コオロギ
 9.6 コガネムシ
 9.7 ゴキブリ
 9.8 シラミ
 9.9 セミ
 9.10 チョウ
 9.11 トンボ
 9.12 ナンキンムシ
 9.13 ノミ
 9.14 ハチ
 9.15 バッタ
 9.16 マイマイガ

10 爬虫類・両生類
 10.1 カエル
 10.2 カメ
 10.3 ヘビ
 10.4 ワニ

11 魚類・その他
 11.1 ウナギ
 11.2 コイ
 11.3 サケ
 11.4 タラ
 11.5 マス
 11.6 ニシン
 11.7 アコヤガイ
 11.8 カキ
 11.9 カタツムリ
 11.10 クモ
 11.11 ミミズ

12 想像上の動物
 12.1 一角獣
 12.2 キマイラ
 12.3 グリフィン
 12.4 ゲリュオネウス
 12.5 ケンタウロス
 12.6 ゴルゴン
 12.7 スキュラ
 12.8 スフィンクス
 12.9 テュフォン
 12.10 ハルピュイア鳥
 12.11 バジリスク
 12.12 フェニックス
 12.13 ペガサス
 12.14 ミノタウロス
 12.15 リュウ

参考文献

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